南国少年パプワくん』(なんごくしょうねんパプワくん)は、柴田亜美による日本の漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。『月刊少年ガンガン』(エニックス)において、1991年4月号から1995年6月号まで連載された。続編として『PAPUWA』がある。

概要

『月刊少年ガンガン』の創刊と同時に連載が開始され、柴田亜美の(プロとしての)本格デビュー作になった。テレビアニメ化もされ人気を博し、『少年ガンガン』から初のアニメ作品となった。2013年6月時点で累計発行部数は600万部を突破している。

主人公の「シンタロー」が迷い込んだ不思議な島「パプワ島」での生活を描いたギャグ漫画。シンタローが島に住む謎の少年「パプワくん」や島の奇妙な生物達(作中では「ナマモノ」と呼ぶ)に振り回されて様々なトラブルに会う、というのが毎回のパターンである。連載の後半では少年漫画らしいバトル描写中心の展開になった。

また、連載中を通して女性キャラクターがたった一人しか登場しないことも特徴(なお、性別が「メス」だと思われるキャラクターは数名〈匹〉いるが、女性キャラらしい人物は一人だけである)。同性愛をモチーフにしたギャグが頻出するが、いわゆる下ネタは皆無という珍しい作風になっている。

連載開始時のエピソード

柴田がリクルートの子会社にイラストレーターとして就職し、FromAやとらばーゆで求人広告のカットを描いていた当時、「ドラゴンクエスト4コママンガ劇場」で人気のあった作者に、1991年に新創刊する予定だった『月刊少年ガンガン』編集部から、「新雑誌を創刊するから漫画を描いてみないか」と依頼が来る。当初は「6話だけ描いて」という依頼だったため、第2話目までは会社に勤めながら描いていた。しかし仕事と漫画家の両立は難しく、また柴田が「編集部は6話で終わらせるつもりがない」と感じたため、作者は会社を辞める決意をする。その意思を会社の上司に相談したところ、「漫画失敗したらいつでも戻って来いよ」という優しい言葉をかけてもらい、感動したとのこと。

あらすじ

ガンマ団から青い秘石を盗み、追われる身となった青年シンタローは、ガンマ団の追っ手を振り切れずに海を漂うことになり、やがてパプワ島という島に流れ着く。島に住む唯一の人間パプワ、人語を話す生物(ナマモノ)と呼ばれる奇妙な動物達との交流、シンタローを追うガンマ団の刺客達との戦いを描く。

登場人物

用語

秘石
赤と青の2つがある、手のひらサイズの球状の石。2つを手に入れた者は世界を手に入れられるとも言われる。その出自は不明だが、遥か古代から存在しているようである。石に秘められた力が作り出したそれぞれの一族と共に、「聖域」であるパプワ島で長い年月を過ごしていた。赤の秘石はパプワ島の地下深くに安置されていたが、青の秘石は青の一族が島を出た際に持ち出され、シンタローに盗まれるまではガンマ団本部にあった。
物語序盤は、不思議な力を持ってはいるもののあくまでただの石だと思われていたが、『南国少年パプワくん』の後半において赤の秘石が登場した際、人格を持っていることが判明(最初から登場していた青の秘石は無口なだけであったらしい)。
なお、赤と青の秘石はその考えや行動方針が微妙に異なっており、仲があまり良くない。
赤の一族・青の一族
秘石が作り出した古代文明人の一族。
古代はやや対立しつつも秘石を守り平和に暮らしていたが、青の一族は秘石を持って島を脱出してしまう。この時に両一族の対立は決定的になったらしく、今でもヨッパライダーは青の一族を「邪悪な一族」と呼んで忌み嫌っている。
その後起こった災害によって1人の赤子(パプワ)を残し赤の一族は滅んでしまった。青の一族はその後も人間と交わり繁栄を続け、世代を経てガンマ団を創設し現在に至っている。
現在のパプワ島(第1のパプワ島)は、両一族の住む島々が沈んでいく中残った最後の島であったが、『南国少年パプワくん』のラストで他の島々が浮上する。その後に登場する島(第2のパプワ島)は、箱舟により、次元を超えてきた青の秘石が過去の記憶から創り出した物。
後に島に残っていた住民達の多くは異次元へと旅立ち、現在のパプワ島のナマモノと異次元の聖犬一族などの祖先となっている。
現在の青の一族は、ガンマ団総帥を兼ねている関係もあって、各国との対立バランスを保つため、結婚はせず全世界から優れた遺伝子を集め、選ばれた卵子により人工授精(実際は代理出産なのかは不明)によって男性のみが生まれるということが『PAPUWA』にて発覚する。
そのため、遺伝上の母親の存在は知らされておらず、一卵性多胎児を除き、同一の母を持つ者はほぼ皆無である。他の青の一族の特徴として、青の一族の者は全て金髪である他、善悪の感情が欠落する特有の疾患を持つ者が時々生まれる。
秘石の番人
秘石を守ると言う使命を負った人間。
それぞれの秘石が自ら作り出した人間1人がその役目に就く。番人になると歳をとらなくなる上、仮に怪我をしたり死んだりしても秘石の力によって修復され蘇生するので基本的に交代することはない。
なお、初代秘石の番人は、互いの名を並べると「ヤヌス」になる。
秘石眼
赤・青の秘石の継承者一族が持っている特殊な眼。眼の力が発動すると超常的な力を発揮出来るが、コントロールできずに暴走することもある。
両目とも秘石眼である者と、片目だけが秘石眼である者が存在するが、サービス曰く、青の一族の歴史からして片目が普通であり、両目秘石眼は特異な存在であるとのこと。単純ながらも力は両目とも秘石眼である者の方が強い。作中に登場した赤の一族・青の一族ではパプワ、マジック、コタローが両目とも秘石眼であった。
眼魔砲
青の一族に伝わる秘技。気合とともに手から衝撃波を放つ。
ガンマ団
島を後にした青の一族の末裔が興した組織。「世界最強の殺し屋集団」との触れ込みであるが、多方面に渡る戦闘能力者を抱えており、実質的には傭兵部隊のような存在である。
『PAPUWA』にて、マジックが総帥の座をシンタローに譲ってからは、「悪い奴にのみ限定のお仕置き集団(ギャラはスイス銀行振込)」になっている。
パプワ島
南海の孤島。人語を介するナマモノが多数生息している。マーカー曰く「人を変える島」。
ナマモノ
パプワ島に生息する生き物達の総称。
パプワフール
アニメ版第1期に登場。カボチャに似た赤い花。この花が咲いている間は、嘘を付いて良いことになっている。原作では、普通にエイプリルフールの話だったが、アニメ版では、放送時期の関係から用意された。

書誌情報

アニメ

テレビ朝日系列フルネット局で1992年10月10日から1993年10月2日にわたり、土曜19時30分から20時00分の枠で全42話が放送された。ただし、山口朝日放送と大分朝日放送は開局日の関係で最終回のみ放送した(山口朝日放送では、帯再放送枠で改めて全話放送)。また、本放送終了後に開局したテレビ朝日系列局では、愛媛朝日テレビや琉球朝日放送で放送された。

テレビ朝日系列と他系列のクロスネット局では、山形放送(当時日本テレビ系列優先ネットのクロスネット局)のみでの放送にとどまった。

さらに、系列外局では、番組販売扱いの遅れネットという形で宮崎放送(TBS系列、テレビ朝日系列クロスネット局のテレビ宮崎がフジテレビ系列優先のため)・テレビ岩手(日本テレビ系列)で、本放送終了後にチューリップテレビ・山陰放送(いずれもTBS系列)・高知放送(日本テレビ系列)で、それぞれ放送された。

アニメ化された範囲は原作単行本の4巻までで、シンタローが一旦島を離れる段階を最終話とした。

2022年9月3日から12日まで、テレビアニメ化30周年を記念して、東京都の渋谷モディにてポップアップショップが開催される。

スタッフ

  • 製作:本橋浩一
  • 原作:柴田亜美(エニックス『ガンガンコミックス』連載)
  • 製作管理:本橋寿一、中島順三
  • 企画:佐藤昭司
  • 音楽:中村暢之
  • キャラクターデザイン:武内啓
  • 美術設定:工藤剛一
  • 美術監督:川井憲
  • プロデューサー:太田賢司、遠藤重夫
  • 監督:高木淳
  • 音響監督:本田保則
  • 撮影監督:森田俊昭
  • 色彩設計:大平敬志
  • 編集:小野寺桂子
  • 効果:蔭山満
  • 制作:テレビ朝日、日本アニメーション

主題歌

  • オープニング『んばば・ラブソング
作詞 - そのべかずのり / 作曲 - 小杉保夫 / 編曲 - 石田勝範 / 歌 - TOME
  • 前期エンディング『もしかすっとナンセンス』(1話 - 24話)
作詞・作曲 - 立川俊之 / 編曲 - 大事MANブラザーズバンド、渡辺禎史 / 歌 - 大事MANブラザーズバンド
  • 後期エンディング『気分はパプワ晴れ』(25話 - 42話)
作詞・作曲・編曲 - つのごうじ / 歌 - つのごうじ&ピタゴラス

CDシングルは、いずれも日本コロムビアから発売された。なお主題歌はカラオケに入っているが、「ん」から始まる珍しい曲に入る形になっている。

各話リスト

映像ソフト

VHS

発売元はいずれもポニーキャニオン。現在は廃盤となっている。

  • 南国少年 パプワくん1(1994年1月21日、品番:PCVP-11356)
  • 南国少年 パプワくん2(1994年1月21日、品番:PCVP-11357)
  • 南国少年 パプワくん3(1994年1月21日、品番:PCVP-11358)
  • 南国少年 パプワくん4(1994年1月21日、品番:PCVP-11359)
  • 南国少年 パプワくん5(1994年1月21日、品番:PCVP-11360)
DVD

ベストフィールドより発売。

  • 南国少年パプワくん DVD-BOX デジタルリマスター版 BOX1(2014年10月31日、品番:BFTD-0108)
  • 南国少年パプワくん DVD-BOX デジタルリマスター版 BOX2(2014年11月28日、品番:BFTD-0109)
Blu-ray

フロンティアワークスより発売。

  • 【TVアニメ化30周年記念】「南国少年パプワくん×PAPUWA」シリーズ・コンプリートBD-BOX(2022年3月30日発売、品番:FFXC-9032)

ネット局

OVA「南国少年パプワくん 星降る夜に会いましょう」

原作にはあるもののTVアニメにはならなかったエピソード“星降る夜に会いましょう”がOVAとして販売された。TVシリーズ第9話に登場したくり子が再登場した作品である。現在は廃盤となっている。

関連商品

カセットブック

アニメイトカセットコレクション(ムービック)

  • 第一巻「コタローへ兄から愛のメッセージ!」(1993年7月1日)
  • 第二巻「雪国少女くり子ちゃん」(A面)「パプワトピア」(B面)(1994年2月1日)
  • 第三巻「ガンマ団本部奪回大作戦」(1994年10月1日)

オリジナルストーリーによるボイスドラマのカセットテープである。出演声優はテレビアニメ版と同じ。現在は、全巻廃盤となっている。

ゲーム

いずれもアニメ終了後に発売。なお、主人公はSFC版ではシンタロー、GB版ではパプワになっている。

  • 南国少年パプワくん(1994年3月25日発売、スーパーファミコン、販売:エニックス・開発:Daft)
  • 南国少年パプワくん ガンマ団の野望(1994年3月25日発売 、ゲームボーイ、エニックス)

脚注

注釈

出典

外部リンク

  • 日本アニメーション内作品紹介ページ

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