クー(フィンランド語: Kuu)はフィンランド語で月を意味する言葉。フィンランド神話では月の女神である。
『カレワラ』によると、大気の娘イルマタルは原初の海を漂う中、小鴨がイルマタル自身の膝の上に卵を生むことを許した。卵は落ち、その欠片が天地と成った。白身は月と成り、黄身は太陽と成った(宇宙卵型神話)。
また『カレワラ』の後半(第47-49章)では、ポホヨラの女主人ロウヒによる月と太陽の幽閉と、ワイナミョイネン・イルマリネンによる解放の物語(日月解放神話)が描かれている。この部分は、カレリアやイングリアに断片的な形で散在していた伝承を『カレワラ』の編者リョンロートが補足脚色したものと考えられている。また原カレワラや古カレワラでは描写がやや異なっている。
またミカエル・アグリコラの記録した伝承(1551年)に、「カヴェ (Kave) が月を食べた」というものがあるという。このカヴェは森の獣を指すと考えられており、世界の神話でよく見られる鳥獣が日月を呑み込むモチーフの一類話と考えられる。一方でクリストフリッド・ガナンデルの辞典(1789年)では、「カヴェ(婦人)が月を解放した」という伝承が語られているという。
関連項目
- クータル - フィンランド神話の月の女神、クーはクータルと呼ばれることもある
- パイヴァタル - フィンランド神話の太陽の女神
- ポホヨラの娘 (フィンランド神話)
- 月神一覧
脚注
参考文献
- リョンロット 編、小泉保 訳『フィンランド叙事詩 カレワラ (上)』岩波書店〈岩波文庫〉、1976年8月16日。全国書誌番号:75028306。
- リョンロット 編、小泉保 訳『フィンランド叙事詩 カレワラ (下)』岩波書店〈岩波文庫〉、1976年10月18日。全国書誌番号:75028307。
- Christfrid Ganander. Mythologia Fennica (in スウェーデン語) - プロジェクト・グーテンベルク
外部リンク
- KUU - the Finnish God of the Moon (Finnish mythology)




