割塚古墳(わりづかこふん)は、奈良県大和郡山市千日町にある古墳。形状は円墳。大和郡山市指定史跡に指定されている。

概要

奈良盆地西縁、矢田丘陵東麓の台地先端部に築造された大型円墳である。古墳名は、墳丘中央部に南北に深い縦溝があったことに由来する。1968年(昭和43年)に宅地造成に伴う発掘調査が、2020年度(令和2年度)以降に測量・発掘調査が実施されている。

墳形は円形で、直径49メートル・高さ4.5メートルを測る。埋葬施設は片袖式の横穴式石室で、南方向に開口し、内部に刳抜式家形石棺を据える。調査では、棺内から鏡・垂飾付耳飾・玉類など、石棺周辺から馬具・挂甲・鉄鏃・須恵器などが出土しており、特に鏡・垂飾付耳飾という優品を伴う点で注目される。築造時期は古墳時代後期の6世紀前半-中葉頃と推定される。

古墳域は1978年(昭和53年)に大和郡山市指定史跡に指定されている。現在では石室は埋め戻され、史跡整備のうえで古墳公園として公開されている。

遺跡歴

  • 1968年(昭和43年)、宅地造成に伴う発掘調査(奈良県立橿原考古学研究所、1969年に概要報告)。
  • 調査後、宅地内の公園として整備(墳丘再整形)。
  • 1978年(昭和53年)5月3日、大和郡山市指定史跡に指定。
  • 2020年度(令和2年度)以降、再調査(大和郡山市)。
    • 2020年度(令和2年度)、測量調査。
    • 2021-2022年度(令和3-4年度)、墳丘発掘調査。
    • 2023-2024年度(令和5-6年度)、石室内再調査。

埋葬施設

埋葬施設としては片袖式横穴式石室が構築されており、南方向に開口した(現在は埋め戻し)。石室の規模は次の通り。

  • 石室全長:13.6メートル
  • 玄室:長さ6.6メートル、幅3メートル
  • 羨道:長さ7メートル、幅1.5メートル

石室上半部は失われており、調査では下半部の石積みのみが検出されている。玄室床面には、石を敷いたうえで中央やや北寄りに刳抜式家形石棺を据える。また羨道では、中央に排水溝が構築されている。

玄室内の凝灰岩製の刳抜式家形石棺は、長さ2.7メートル・幅1.4メートル・高さ1.4メートルを測る。調査では、棺内から鏡・垂下式耳飾・切子玉などが、石棺周辺から馬具・挂甲・鉄鏃・須恵器などが出土している。

出土品

1968年(昭和43年)の調査で出土した副葬品は次の通り。

  • 棺内
    • 銅鏡 1 - 獣首神獣鏡。
    • 垂飾付耳飾 2対
    • 玉類
      • 水晶製切子玉 35
      • 碧玉製管玉 11
      • 埋木製棗玉・切子玉 5
      • ガラス小玉 10
  • 棺外
    • 鉄鏃
    • 挂甲小札
    • 馬具
      • 花弁形杏葉
      • f字形鏡板付轡
      • 鞍金具
    • 須恵器
  • その他
    • 捩り環頭
    • 埴輪 - 不明形象埴輪。
    • 弥生土器

文化財

大和郡山市指定文化財

  • 史跡
    • 割塚古墳 - 1978年(昭和53年)5月3日指定(市史第4号)。

関連施設

  • 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館(橿原市畝傍町) - 割塚古墳の出土品を保管・展示。

脚注

参考文献

(記事執筆に使用した文献)

  • 史跡説明板(大和郡山市、1993年設置)
  • 「割塚古墳」『奈良県の地名』平凡社〈日本歴史地名大系30〉、1981年。ISBN 4582490301。 
  • 「古墳時代 > 割塚古墳」『郡山の歴史と文化 -平和のシンボル、金魚が泳ぐ城下町。-』大和郡山市、2022年。 

関連文献

(記事執筆に使用していない関連文献)

  • 小島俊次「割塚古墳の調査(概要)」『青陵』第14号、橿原考古学研究所、1969年、2頁。 

外部リンク

  • 割塚古墳 - 大和郡山市ホームページ

割塚古墳1

小泉城跡大和郡山市の観光情報はロコドコ大和郡山

大和國古墳墓取調室

鉢塚古墳

割塚古墳 円墳(径49m、高さ約5m)埴輪なし。6世紀前半・石室 片袖式横穴式石室 大和郡山市 YouTube